男鹿は一般的にタナが深いと言われているが、浅ダナでも食ってきますよ。 翌日の「おんべ島」
薄暗い中、”なまはげ”に迎えられて加茂漁港の渡船乗り場に到着する。いつもなら満車状態の広いパーキングに車は3台、そのうちの1台は今回お世話になる「大竹丸」の船長の軽トラだ。
「どう?あまり良くないようだけど」
「サカナはいっぱいいるよ」
「エサ取りだろう、マダイは?」
「知らねぇー、客がこねぇーから。クロダイも釣れねぇーのに釣れる訳ねぇべぇ、それより早く行くべぇー、いいとこ空けといたから」
船頭の言う「いいとこ」とは釣れる釣り場ではなく、私の対しては足場のいいところを指す。と言う訳で超の付く足場だけは一級磯の「オンベ」に北村さんと二人で渡り、ガイドで同行した地元2名は港方面に戻り磯の名前は忘れたが、小さな三角磯で足場の超悪い磯に渡る。
この日は南寄りの風が6〜7mのため、まずは北向きに釣り座を構え、北村さんは中央部、私は地方よりの奥まったところで開始するが、1投目からイシダイの稚魚サンバソウの猛攻で練エサも入らない。30分ほどでこのポイントを諦め、沖向きにある「帆立?、帆かけ島?」との水道に移動する。
以前の記憶では水深は10mほどだったような気がする。(実際は15mほどあるらしい)
7mほどにウキどめを付けて開始するがオキアミはもちろん、練エサも2ヒロほどで盗られてしまう。
エサの落ち込みでときどきサンバソウやチャリコが針がかりする程度で潮は流れず、時だけは流れる。
マダイはおろかクロダイの気配もない状態が一変したのは開始から2時間ほどで、ゆっくりではあるが下り潮(北向き)が動き始めた直後、竿1本半ほどで狙っていた竿先が海面に突き刺さる。
高水温のせいかパワフルな引きに大型を思わせたがタモに収まったのは41cm!・・・
エサはマルキューの「活きさなぎミンチ・激荒」から拾い出したコーン。
この一尾で北村さんも右隣に移動。潮が速くなり、ウキを3Bにチェンジして竿2本の深ダナまで探ると再びヒットするが30cmちょっとで型は小さくなる。
4ピロほどまでウキどめを上げると良型がヒットするが足元でハリ外れ!・・・45cmほどあったのに!・・・
足元からのハライ出しでウキが先行し、エサが手前だったためアワせてもウキが動くだけでハリが刺さらなかったのが原因と思われる。
北村さんのポイントは潮下でアタリは多いようで、頻繁にアワせているが25〜28cm程度のメジナばかりだ。
「北村さん、仕掛け軽いんじゃーない、ウキは?」
「Bだよ、アタリはあるんだけどハリに乗らないんだよね」と言う。
水道でかなり速い潮のため、仕掛けが浮いて、メジナばかりなのだろう。また、私のハリ外れと同じでウキが先行しているため、アタリはあってもハリがかりしないのだ。このアドバイスで仕掛けを重くしすとすぐにヒット!・・・
「なんだろう」
「あっ、クロダイだ。3Bにしたら食ったよ」と30cmほどだがうれしそうな笑顔。
この人ほど分かりやすいひとはいない。釣れないときは男鹿の玄関口で見た「なまはげ」のような怖い顔になり無口になるが、釣れるとやさしいオジさんの顔になる。そしてしばらくしてまた、北村さんの笑顔を見ることができ、終了。
高水温で不調だった男鹿もそろそろ水温は下がり、クロダイそしてマダイの釣果が聞かれる季節になって賑わいを見せているだろう。

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