岡田黄門漫遊記 〜さすが八丈島〜
レポート:福島支部・赤城鉄夫

 ジャン、ジャジャジャジャン、
 じ〜んせい楽ありゃ、苦〜もあるさ〜

 4月7日一番の飛行機で八丈島に渡った岡田黄門さまご御一行。
長野の太めの助さん(白川)と山形のアルミの格さん(長谷川)、それに福島のうっかり八兵衛(赤城)を従えての珍道中。
 「百さん」ことダイワのテスター百川武さんが経営するペンション、「ベーチタイム」が主催する「ビーチタイム杯」に参加するのつもりなのだが、なにせ黄門さま以外、皆八丈島は始めて。風の強さも、波の荒さも全て当初の目的を忘れさせる感動物だ。

 八丈島に着いてすぐに着替えをし、他の参加者とともに渡ったのはあの有名な「八丈小島」。お供のもの3人も黄門さまのアドバイスをうけてそれぞれ竿をだすのだが、天候が悪く竿をだせるポイントが少ないこともあり、普段だと10人位がちょうどいいシモダテとかいう1級ポイントに30人もが入る状態。満足な釣りをすることができず初日は当然のごとく?全滅。そんなに甘くはなかった・・・。

 2日目、黄門さま御一行はほかの参加者2名とともに八丈小島の小地根に渡った。

 初日こそ、黄門さまはお供の者に先に竿を出させる為に?(あまり人が一杯でごちゃごちゃしているのと、荷物を持って歩きたくなかったのが真相なのだが・・・)、結局歩かずにすむ船着場に釣り座をかまえ、ゆっくりと最後に用意をしたのだが・・・。

 何故かこの日に限って、小地根に渡るとさっさと用意をすませまさに振り込むばかり。それを見ていた八兵衛はいや〜な予感。「はやく用意をしなきゃ」と心があせる。たぶんこれをご覧の多くの方に心当たりがあるはず。
 ! と思うまもなく「きたよ〜」。
  黄門さまに目をむけるとしっかり竿が曲がってる。すぐに抜きあげられたのは35センチほどの尾長。「魚いるのが判ったでしょ。きょうは入れ食いじゃない?」。これだもんな〜、判ってますよ、オニッ!

今年の「ビーチタイム杯」には岡田氏も参加。

 気を取り直し?それぞれ期待いっぱいに竿を出すお供の者たちだが、グラングランともまれる大きなサラシと18mもの横風にどうやって仕掛けを入れたらいいのやら・・・。しばらくするとダツの群れに表層は覆われ、仕掛けが入っても今度はイスズミの入れ食いになる。

 ここからは笑い話。次々喰ってくるダツやイスズミの竿曲がりに一喜一憂するのは釣った本人ばかりでは無い。実は、まわりで一緒に釣っている者が一番ドキドキしているのだ。
 竿が曲がる度に「白い?(イスズミ)、黒い?(メジナ)」と、本命を先に釣られてしまったのかとあせって声を掛ける。掛けた本人も「うえ〜白い・・・」とそりゃもう大変なのだ。

 結局2日目は黄門さまが尾長を5枚(サスガ)、八兵衛が3枚取り、おまけに八兵衛はカンムリベラとかいう、50センチ位で真っ黒で縦に黄色の一本線の入ったけっして「カワイイ」とか「キレイ」とはいえない魚を釣り(もっとも本人はやりとりの最中は尾長かと思ったそうだ)、メジナのいることを確認して?今日のところは勘弁してやることにする。

入賞された皆さん(前)とゲスト(後)。

 そんなことだからビーチタイム杯の検量には、黄門さま御一行の誰一人参加できず、その夜開かれた表彰式では、もっぱら拍手係に徹したのだった。
 ちなみに、黄門さまご一行が着く前日の土曜日から来ていた、佐渡の新婚「風車の矢七」は3日間本命の姿を見ることが出来ず、大会参加者に「ウスバでもいいからおみやげくれ〜、由紀(お銀ではない)と約束してきたんだから〜」と一部の反感を買うノロケをほざき新婚をアピールしていたが、バカをいっちゃいけない、そんな幸せ顔の奴に誰がサカナをあげるもんか。ってな感じ。
 
彼もまた拍手係の1人である。ちょっとまて!このままじゃ八丈島まできて「ウキ工房拍手カルテット」を結成、お披露目で終わってしまう…。

 ちなみに、第十一回ビーチタイム杯大会成績は次のとおり!。
優勝  鈴木 一行(ビーチタイムラダース)
第二位 今井 則昭
第三位 佐藤 一幸(秋田県)
 おめでとうございます。パチパチパチ。

 さて、この日の最終便で帰るという三日目の4月9日、前日の天気予報とは全く違った雨、風、風、風。「八丈の天気予報とフグはあたらない」と昔から言うらしく?(本当かどうか羽入に食わせてみたい)、ビーチタイムの百さんは「またか〜」と平気だけど、助さん達は心中穏やかではない。もっともご隠居さまは「初めて来てそんなに簡単に釣れっこないんだよ」といわんばかりに、眠い、眠いを連発している。
 しかし、この日は御一行さまの間だけで、ウキ工房恒例のミニ大会。取れても三人分しかないのに黄門さまはやる気満々。はやくも駆け引きを始め弟子を相手に本気で勝ちにきている。ほら、メガネの奥の目が「キラ〜ン」って。あ、あ、悪魔っ!!

 閑話休題。この日は結局八丈小島方面への渡船が出られないため反対側の大根方面へ目指すことになった。
 大根へ鵜沢正則氏や鈴木ノブさん達を渡し終えた後、黄門さまの指示で御正根へ向かう途中の低い磯(マジで名前のない無名磯らしい)へ御一行さま4人を降ろした(矢七はこの日一番の飛行機で嫁さんのもとへ、じゃない佐渡へ帰って行った)。それぞれ釣り座を決め仕掛けを流し始めるがアタリどころか餌もそのままかえってくる。2時間そういう状況が続いたあと、突然助さんの竿が曲がりあがってきたのは小マサ(ヒラマサの小型、地元ではチョロマサとかいうサイズ)。一同がぜんやる気が出る。それもそのはず、なんせ一回も餌をとられなかったのだから青物でもなんでもアタリが恋しかったのだ・・・。
 食い意地のはった八兵衛などは助さんの小マサが羨ましくてならない。ウキどめ糸としてライフジャケットの胸ポケットに入れておいた1.7号のハリスを、3人に見つからないようにこそっと仕掛けに結びかえた。

 ところがその直後、八兵衛のウキがゆっくりとシモリはじめ、アワセるとなにやら重いが弱いヒキ。またカンムリベラかなにかだろうと高をくくったやりとりのあと水面にあがってきたのはメジナ、しかもでかいじゃないか。
「タ、タモ!すいませんタモお願いします!」
と後ろを振り返りおねがいするのだが、魚のサイズほど竿が曲がっていなかったらしく
 「抜いちゃえよ」
 「そんなのタマなんかいらね〜よ」
 「タマなんか必要ないだろ」
と冷たい。この会話文それぞれ誰なのか考えて下さい。一発でおわかりの方先着1名さまへ岡田進氏よりウキ1個プレゼント(本人は知らない)。
 八兵衛は泣きそうになり、正直にさけんだ。
 「ハリス1.7号なんです。タマお願いします。デカいんです!」

うっかり八兵衛の釣った47p(口太)!
 その言葉にやっとのこと助さんがタマ掛けをしてくれた。測ってみると47センチの口太メジナ。尾長じゃなくてよかった、尾長だったらぜったいとれなかっただろう。ともかくニコニコ上機嫌のうっかり八兵衛に周囲の言葉は冷たく、厳しい。
 「八丈でハリス1.7なんて反則だよ」 「1. 7なんてよく持ってきたよな」 「そこまでして握りほしいかね〜」
八丈島初挑戦の助さん(白川氏)に56pの尾長!

 いいもん!、なんとでも云え!。八兵衛は握りが自分の物とこの時点で確信した。
 ところがドラマはやってきた。11時を過ぎるとそれまでほとんど動いていなかった潮が、沖の潮流にひかれるように流れ始め12時少し前、助さんの竿が大きくしなった。
 「こんどは尾長のようだな!」
 黄門さまの言葉に緊張が走る。さあそれからが大変。、
 「巻け巻け、もっと前に出ろ。もっと巻け!」
 サポートのためタマを持った黄門さまの言葉だけが磯に響く。長く感じたやりとりの後、浮いてきたさかなを見て全員「でかい!」
 あとから測ってみれば、56センチ2.3キロの尾長メジナ(標準和名クロメジナ)。御一行の感動も、握りもすべて貰った一発だった。

 そのあと、ちょうど時合いだったのか黄門さまが三発バラシ。格さんは何回か竿を曲げるものの、あがってくるのはアディダス(さあなんでしょう?)。結局とれた尾長は助さんの1尾だけだったが、八丈島らしさを御一行に見せつけた。

 一行にさわやかな感動と疲れを与えた八丈島へ別れを告げ、羽田へと戻る岡田黄門さまの世直し旅、こんどはどこの磯の上?。チャンチャン。
 えっ、この日そのあとの黄門さまはどうだったかって?。そりゃあいろいろ面白いことがあったんですが、とても公にできません。これをご覧になった方、この他のことをお知りになりたいときは、助さん、格さんまたはうっかりハチベイに直接お聞きください。いくらなんでも私の口からは師匠のことは書けません。